Life=Risk

コロナに負けないで人生を楽しむ方法を模索するブログです。

まるで海外リゾート、知れば必ず行きたくなる沖縄の老舗ホテル「ホテルムーンビーチ」

仲秋の愛媛から夏の沖縄へ

ハーフパンツにTシャツはもうおかしいかな?

2018年9月18日、高松空港に向かう車内で妻にそう尋ねた。朝晩は肌寒いくらいだし、夜は虫の声が耳に付く。立秋を過ぎたから秋という暦の上での区分ではなく、体感的にもう秋なのだ。

いいんじゃないの。空港まで寄り道もしないし、行き先は沖縄なんだから。

そう答える妻はしっかりと秋の装いなのだから油断がならない。

 

私が安堵できたのは飛行機と那覇空港を結ぶボーディングブリッジだった。出迎えてくれたのが、むっとするような南国の空気だったからだ。青い空に青い海、沖縄はまだまだ夏だった。

告白すると海を見るのは好きだが泳ぐのは嫌いだ。日に焼けるし海水で体がベトベトする。昔からそうだったわけではない。高校生の頃までは友人と海に泳ぎに行っていたし、子供が小さい頃も一緒に海で泳いだ覚えがある。ただその頃の記憶は、鋭いナイフのように突き刺さる断片的で鮮烈なイメージは残っているものの総じると曖昧だ。最後に海で泳いだのがいつだったかもう覚えていない。

 

マリンスポーツにも興味がないし海で泳ぐのも嫌いとなると、必然的に街中に宿を取る機会が多くなる。オンザビーチのホテルに憧れはあるけれど効率的ではないし無駄じゃないかと思ってしまうのだ。

それなのに今回、オンザビーチのホテルを予約したのは、たまにはホテルでのんびりするのも悪くないと思ったのが一つと、インターネットで検索中に「まるで海外」という言葉を見つけたからだ。

思えば「まるで海外」という言葉には騙され続けてきた。外国のようだと比喩される場所は日本に数多くあるが、実際に訪れて確かにそうだと思える場所はごくわずかだ。天の邪鬼気質の私は「まるで海外」と言われると本当にそうなのかと疑いたくなる。何なら実際に行ってその化けの皮を剥いでやろうとさえ思う。

沖縄の歴史あるホテル 

ホテルムーンビーチは沖縄本島西海岸の恩納村にあるホテルだ。沖縄国際海洋博覧会が開催された1975年に建設されたらしい。1975年、つまり昭和50年と言えばゴレンジャーの放送が開始され、「およげ!たいやきくん」のメロディーが街に流れた頃である。沖縄でも老舗のホテルと言っていいだろう。

ホテルは新しい方がいい、私は常々そう思っている。最新の設備を備えたホテルの方が快適に過ごせる確率が高いからだ。海外リゾートには古いホテルも多いし、昭和という時代に対するノスタルジアがビーチ沿いの立地と相まって好意的に解釈すれば海外的とも評される、それが「まるで海外」の正体ではないかとそう推測していた。

 

しかし、ホテルに一歩足を踏み入れると私の推測は裏切られた。天井から垂れ下がるポトスと年月を経たコンクリートの共演は廃墟的でありながら、周りを彩る花々と吹き抜けの天井から漂う南国の空気がそれを許さない。見事なバランスと唸るほかはない。

f:id:sinrons:20180921122202j:plain

f:id:sinrons:20180921122744j:plain

スタッフに案内されオープンエアの通路を部屋に向かうとプールが見えた。時間を積み重ねたであろう通路や手すり、ポトスの緑、プールの青、月並みな表現だがここが本当に日本なのか疑いたくなる空気感だ。

f:id:sinrons:20180921123335j:plain

今回予約していたナチュラルデラックスと呼ばれる部屋は美しくリノベーションされていた。オンザビーチのホテルはどうしても砂が履物に付いてくる。フローリングの床は正解だろう。

f:id:sinrons:20180921123943j:plain

屋外プールの青、海の青、空の青はその境界が曖昧にも思える。

f:id:sinrons:20180921124348j:plain

恩納ブルーの誘惑に耐えきれず…

ホテルの目の前は海、それも天然のプライベートビーチだ。海で泳ぐのが嫌いだと言ってもこの優しいブルーの誘惑に耐えるのは難しい。この海の中に立つ自分を想像しないでいられるだろうか。

f:id:sinrons:20180921124543j:plain

あまり長く海に浸かるとふやけちゃうよ。

思わずそう声を掛けたくなるほど妻は海を楽しんでいた。

海水と羊水は一緒、赤ちゃんと同じで簡単にふやけたりしないよ。

妻の言葉になるほどと思ってしまう。そう言えば何かの本で読んだことがある。羊水と海水の成分、人間の体液は似通っているのだと。浸透圧の原理が働いてふやけにくいという訳か。

f:id:sinrons:20180921125013j:plain

時間の経過に応じて海は目まぐるしくその表情を変える。時には銀色に。波打ち際に寝転がり海のリズムを感じるのも悪くない。

f:id:sinrons:20180921125050j:plain

沈む夕日を眺めながらディナーの席に着く。この風景だけにお金を払ってもいいと感じる瞬間でもある。

f:id:sinrons:20180921130818j:plain

海で泳ぐのが嫌いになった、長い間そう思っていた。しかし、それは間違いだった。海で泳ぐのが嫌いになったのではなくて、海に行くための移動方法を考えたり泳いだ後の後始末をするのが面倒になっただけだ。

海で泳ぎ、屋外でシャワーを浴び砂を落としてプールに移動する、あるいは部屋に戻る。半屋外の通路は水着で歩くことに違和感もないし、部屋の床はフローリングだから多少水が落ちても問題ない。よく考えられていると思う。

このホテルはうまく自然の中に組み込まれている。ハワイのマウイ島のロケーションや建物を参考にしたと言われているが建築物として素晴らしい。重ねた時間がこの空気感を醸成したのだと断言できる稀有な例の一つではないだろうか。

まるで海外リゾート、その言葉に嘘はなかった。