Life=Risk

コロナに負けないで人生を楽しむ方法を模索するブログです。

有限会社新垣菓子店のちんすこう 沖縄土産の定番はこれで決まり!!

沖縄土産の定番、新垣ちんすこう

今年3度目の沖縄旅行に行って来ました。毎回必ず購入するのが有限会社新垣(あらかき)菓子店(ちんすこう本舗)のちんすこうです。こちらのちんすこうを食べるまで、「ちんすこうってあまり美味しくないな。」というのが正直な感想でした。でも、こちらのちんすこうを食べて目から鱗が落ちました。

 f:id:sinrons:20170812124615j:plain

有限会社新垣菓子店のこのパッケージは、少し注意してみると那覇空港や国際通り、観光名所などあちこちで見掛けると思います。最近では「35コーヒーちんすこう」も多く目にします。

新垣ブランドは3つある?

沖縄には3つの新垣ブランドのちんすこうがあります。そのいずれもが琉球王朝の包丁役(料理方)であった新垣親雲上淑規(あらかきぺーちんしゅくき)を開祖としています。親雲上(ぺーちん)というのは琉球王朝の士族の称号の一つだそうです。開祖の新垣淑規(あらかきしゅくき)は首里の小橋川家の出身で、琉球王朝の包丁役として活躍し、琉球国王から「新垣」の姓を与えられました。

沖縄には名乗頭(なのりがしら)という風習があり、士族の場合は名前の最初に共通の漢字を使用するそうです。ですから、沖縄で「新垣」姓で名前の最初の漢字が「淑」であったなら、それは琉球王朝の包丁役、新垣親雲上淑規の血統と考えてもよいと思います。

沖縄で新垣ブランドのちんすこうを販売しているのは、最も有名な「有限会社新垣菓子店」、販路が拡張されつつある「新垣カミ菓子店」、そして新垣親雲上淑規の本家筋となる「本家新垣菓子店」の新垣御三家です。

有限会社新垣菓子店

ちんすこうのメジャー化という観点から、ぜったいに外せないのが有限会社新垣菓子店です。製造ラインをオートメーション化し大量生産が可能となっているため、どこでも手軽に購入することができます。国際通りでは割引販売しているお店もありますし、ANAマイラーなら那覇空港のANA FEASTでクレジット機能付きANAカードを提示すれば10パーセント割引してくれるので、こちらで購入するとよいでしょう。但し商品の種類は限られているので、到着時に希望する商品があるかどうかを見ておくとよいと思います。

f:id:sinrons:20170812133355j:plain

このように大きな看板も出ていますね。新垣ちんすこうだけでなく、1000円以上購入すれば全て10%割引なので同じ商品があれば、ANA FESTAでの購入がお得です。

有限会社新垣菓子店はメディアへの露出も多く、その気になれば通販でも買えてしまうので特別感は薄いかもしれませんが、その普遍性こそが創業者の願いであったように思います。

有限会社新垣菓子店は昭和7年(昭和4年という記述もありましたが、公式サイトでは昭和7年となっているのでこちらを優先します)に、本家新垣菓子店から暖簾分けという形で創業しました。創業当時は有限会社化はしていませんでした。創業者の新垣淑扶(あらかきしゅくふ)はその名の示す通り、新垣親雲上淑規の末裔です。クッキー型を使用しちんすこうを大量生産し、衛生面を考えた個包装を行うという方法を導入して、現在私達がイメージするちんすこうの基礎を築いた人物です。とにかく研究熱心な人で新垣家に伝わる琉球菓子の秘伝を、誰もが口にすることができるようになったのはこの人の功績が大きいと思います。

新垣親雲上淑規から数えて3代目、新垣淑康(あらかきしゅくこう)は後継者を育成できないまま急逝してしまいます。新垣淑扶の父親です。淑扶は跡を継ぐ気がなかったようですが、急遽父親の後を継ぎ大変な苦労の末に、新垣家に伝わる琉球菓子の秘伝を体得しました。そうなると本家新垣菓子店を一時期継いでいたのは、有限会社新垣菓子店創業者の新垣淑扶ということになりますよね。彼はその後、本家新垣菓子店を甥に譲り、自身は暖簾分けという形で新しい菓子店を創業することになります。つまり、本家新垣菓子店の技術的な伝承は有限会社新垣菓子店の新垣淑扶を経由して行われたという少々ややこしい構図ができあがっているようです。

新垣カミ菓子店

一方、新垣カミ菓子店の方は、新垣家の正当なサイドストーリーと言ってよいのではないでしょうか。創業は公式サイトによると昭和24年ということになるようです。本家新垣菓子店に嫁いだ新垣カミは家業を手伝う過程で菓子作りの技術を習得します。しかし、夫は35歳という若さで急逝し、戦時中は大分県に疎開します。戦後、沖縄に戻ってみると首里一帯は焼け野原だったそうです。新垣カミは女手一つで首里赤平の地に菓子店を開業しました。

f:id:sinrons:20170812145310j:plain

こちらは「昔からの味は絶対に変えてはいけない。お客に対しては、常に立派なお菓子をお出しするのがあたりまえ」という新垣カミの信念を受け継ぎ、手作業で生産されています。首里城の鎖之間(さすのま)でサンピン茶と共に有料で提供されている琉球菓子は全て新垣カミ菓子店のものです。現在の新垣カミ菓子店は伊波さんという方が経営されているようですね。

以前は首里赤平のお店か首里城の売店くらいでしか購入できなかったようですが、今は国際通りや那覇空港でも販売されています。

本家新垣菓子店

こちらが新垣親雲上淑規の本家筋になるそうです。公式サイトもなく販売箇所も少ないためインターネット上の情報に頼るしかありません。関係者からの発信は皆無と言ってよいでしょう。

お店の所在地は検索すればすぐ出てきますね。お店での販売はほとんど予約で完売してしまうようです。私も予約しようとしましたが「事情があって新規の予約は受け付けていない。」との返答でした。ですから、入手しようと思えば開店直後にお店を訪れてみるか県庁前のパレットくもじに週2回納入されるそうなのでそれを狙ってみるというのがよさそうです。首里の都ホテルの売店で売られているという話も聞きます。

こちらも手作業ですので製造数が限られている上に、密閉包装されていないため賞味期限が短くなかなか目にする機会はないと思います。

どの新垣ブランドがお勧め?

私がお勧めするのは、有限会社新垣菓子店のちんすこうです。なにしろ入手が簡単ですから。帰りの空港で購入できます。

インターネット上の風評では、新垣ブランドのちんすこうの味に関して、本家新垣菓子店→新垣カミ菓子店→有限会社新垣菓子店と位置付ける評価が多いように思います。使われる材料はいずれも、小麦粉、砂糖、ラード、膨張剤(ふくらし粉)です。ちんすこうはクッキーと違ってバターを使用せずラード(豚脂)を使います。表面はサクサク感がありつつ、中身はややしっとり、口の中でホロリと崩れる優しい甘さが特徴です。ラードならではの軽い味わいがありますね。

手作業で作られる新垣カミ菓子店とオートメーション化が進んだ有限会社新垣菓子店のものを食べ比べてみましたが、好みの問題かなという感じを受けました。

「本家」「手作り」というキーワードとその希少性を考えると、本家新垣菓子店に軍配を上げたくなるのかもしれませんね。入手が困難であれば、人は欲しくなるし高く評価したくなるというところはあると思います。私も機会があれば食べてみたいですし(笑)。

新垣ブランドだけでなく、いろいろなちんすこうを食べ比べて、お気に入りを見つけるのも楽しいかもしれませんね。