Life=Risk

コロナに負けないで人生を楽しむ方法を模索するブログです。

消費税増税前に登録済み未使用車(新古車)を高い金利のカーローンで買った話

登録済み未使用車という選択

車にこだわりがない。こだわりはないが、同じお金を払うのなら新しく快適な車に乗りたい。当たり前の話だ。

新古車と呼ばれる車がある。最近では登録済み未使用車と呼ばれることも多い。

「試乗車に使ったような車だよね。」

友人はそう言っていたが、間違いではないものの表層的な理解だと感じる。車には販売ノルマがあるのだ。ノルマを達成するためには車を登録するしかない。自社名義で登録し販売実績とし、その後は中古車(登録済み未使用車)として流通させる。これによって登録済み未使用車と呼ばれる車が市場に供給されるのだ。

おかしな話だとは思うが、ユーザーにとってはメリットがある。一度登録して中古車になった車は価格が大きく下がることがあるのだ。デメリットとしては自分好みの車に出会うチャンスが少なくなるし、登録してしまっているので次回の車検までの期間が短くなることだろうか。

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中古車販売店にとって恐いのは長期在庫

登録済み未使用車を多く扱う販売店を訪れた。予約などはしていない。ふらりと立ち寄った体を装う。目当ての車はある。あまり市場に出回らない車だ。その販売店では複数台仕入れていたが全て売れてしまい最後の1台のようだ。

「一番に売れると思ってた色なんですけどねえ。」

店長はそうぼやいていた。私も早くに売れてもおかしくない色だと思うが無難に過ぎると判断した人が多かったのかもしれない。実のところ、その色は本来追加料金の必要な限定カラーなのだが。

中古車販売で恐いのは不良在庫を抱えることだ。3か月を超えて売れ残った車をチョウザイ(長期在庫)と呼ぶ業者さえいると聞く。

その証拠に車両本体価格が数日前にインターネットで見た時から更に10万円も値引きされている。不良在庫化するのが恐いので早く売り切りたいのだろう。

車としては悪い車ではない。ただ一般的に知られていないだけだ。指名買いされるような車ではないと思う。店員が言うには他の車を見に来た人が、実車を見て気に入って買っていくのだそうだ。

新車価格から言えば40%程度ダウンしている。これを売っても薄利か下手をすれば車両本体価格だけでは赤字になってしまうのではないかと心配になる。既に破格と言ってもいい値段になってしまっているから、遠からず売れてしまうだろうが。

高い金利のカーローンを選択した理由

一般的にカーローンは銀行、ディーラー、中古車業者の順に金利が高くなる。銀行は顧客の囲い込みという意味合いもあるし、金利が低い分、審査が慎重で事務処理に時間がかかるのが普通だ。ディーラーは新車価格に利益を乗せやすいのである程度金利を安く設定する体力がある。問題は中古車業者だ。競争が激しく薄利多売にならざるを得ない。そうなるとどこか別のところで利ザヤを稼ぐしかない。結果、金利の高いカーローンを客に勧めて、ローン業者からのバックマージンを得るという手法が横行するのだ。

60回ローンを組んでくれたお客様には各種割引、特典付き!!

このような煽り文句は、バックマージンの一部を特典として還元し購入を促す狙いがあるのだと思う。特典に目が眩んで業者が勧める金利8%前後のローンを組むと、銀行で借りた場合と比べて数十万円余分に支払わなければならないかもしれない。多少の特典をもらったとしても割に合わないことが多いだろう。

しかし、金利の高いカーローンは審査が緩く即日OKということも多い。このことは覚えておいて損はない。

手持ち資金が少なく車の購入を躊躇することもあるだろう。いいところに就職できたとしても、手持ち資金に余裕ができるのは数年後というケースもある。就職したばかりでは銀行の融資も審査落ちするかもしれない。審査の緩いカーローンで車を購入し、ある程度の勤務実績ができてから銀行などで借り換えるという手法だってある。

 

店長と交渉しても大幅な値引きは期待できないと思っていた。既に十分な値引きがされてしまっているからだ。

「いや~、この値段から値引きを希望する人は珍しいですよ。」

そう言われても、私は陸マイラーでポイント乞食なのだ。少しでも得をする方法を日々考えている人種だ。

現金一括払いで話を勧めたが提示された値引きはわずかなものだった。無理もない、既に限界に近い値引き率になってしまっているのだろう。

私は戦略を変更することにした。

「60回ローンで即決してもいいですよ。」

「本当ですか!」

店長が私の提案に食いついてきた。

「それだったら、うちで工賃込み11万円で出しているカーナビを付けて、あと数万円値引きも頑張ってみます。」

カーナビが11万円と言うのは盛り過ぎとは感じたが、機種を見ると安く見積もっても6万円くらいの値打ちはある感じだったし、ショップに持ち込んで後付けする手間が省けるのはありがたい。

概ね話がまとまりかけたところで私はこう切り出した。

「カーローンは一括返済も可能ですよね?」

店長は一瞬驚いた表情をしたが、ニヤリと笑って答えた。

「18回だけお付き合いしてもらっていいですか。その後は一括返済してもらってもいいので。」

18回の支払いを行うとカーナビ分が金利で帳消しになる程度だが、数万円の追加値引きを加えると悪くない話に思えた。18回の継続は店側とローン業者の取り決めでもあるのだろう。

「ところでクレジットカードは使えますか?」

車の販売でクレジットカードを使うのは一般的ではない。業者にとっては手数料を負担しなければならないのでメリットはないからだ。それでも新車では難しいだろうが、中古車業者ではクレジットカード払いを認める業者も増えてきている。時代の流れなのだろう。

「うーん、30万までならOKです。」

「では30万円を頭金としてクレジットカードで支払うので、車の名義は私にしてもらってもいいですか。」

カーローンを組んだ場合、車の所有権をローンの支払いが完了するまで販売業者やローン会社が持つことは珍しいことではない。自動車検査証の所有者欄に販売業者やローン会社の名前が入っていることがあるのはそのためだ。ローンが滞った時に車を押さえるためらしい。

所有者を誰にするかはローン会社などに裁量があり、頭金が一定金額入り、ローンの金額が少なければローンを組んだとしても購入者名義で販売することも可能だ。要はローンの支払いができなくなった場合のリスク回避なので、その可能性が低いと判断してもらえばいいのだ。

「わかりました。クレジットカードのポイントももらってください。」

そう言って店長は笑った。餅は餅屋、店長もよくわかっていると感じた瞬間だった。

店長は長期在庫を抱える苦痛から解放され、ローン会社も金利を稼ぐことができた。そして私はカーナビ付きの車を安く手に入れることができた。もちろん18回の約束は守るがその後は一括返済する予定だ。

一体、誰が損をして誰が得をしたのだろうか。とかくこの世は複雑だ。

「クレカのポイントはマイルにするか。」

私はそうつぶやき店を後にした。